沖縄で幻の巨大ザメ「メガマウス」の化石発見-アジア初の公式記録に

沖縄で発見された「メガマウスザメ」の歯の化石(写真提供=沖縄美ら島財団)

沖縄で発見された「メガマウスザメ」の歯の化石(写真提供=沖縄美ら島財団)

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 一般財団法人「沖縄美ら島財団」(沖縄県本部町)が1月21日、同財団の冨田武照さんを中心とする研究グループが「メガマウスザメ」の歯の化石を発見したと発表した。

北海道大学総合博物館研究員で、「沖縄美ら島財団総合研究センター」に在籍する冨田武照さん

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 化石は、推定約1000万年前~300万年前と見られる沖縄県の新生代新第三期の地層から発掘された物。今回の発見はアジア初のメガマウスザメ化石の公式記録となるだけでなく、謎につつまれたメガマウスザメの進化の過程を解明するうえで重要なものとして注目を集めている。

 世界での目撃例・捕獲例がきわめて少ないことから「幻の巨大ザメ」として知られる「メガマウスザメ」は、1976年に発見された全長6メートルに達する大型のプランクトン食のサメ。化石記録の報告例もごくわずかで、これまで北米、ヨーロッパの約10地域で歯の化石が発見されているにすぎない。

 発見の経緯は、昨年2月、化石の採集が趣味という岩瀬暖花さん(那覇市立天久小学校、当時3年生)が、沖縄で採集した化石を持って沖縄美ら海水族館を訪れ、同財団で沖縄美ら海水族館教育普及を担当の横山季代子(専門は魚類分類学など)さんと知り合いになった。

 横山さんは、岩瀬さんが化石を収集している化石産地を訪れ、小さい歯の化石を発見。その化石を北海道大学総合博物館研究員で、2014年から「沖縄美ら島財団総合研究センター」に在籍し、サメ類の胎児の研究を行っている冨田武照(専門は軟骨魚類の進化・機能形態学など)さんと調べたところ、「メガマウスザメ」の物であることが判明した。

 今回発見された化石から、現生種のメガマウスザメに近い特徴を多く持っていることが明らかになり、北米などで発見された古い時代(新生代古第三期)と異なることが判明した。今後の研究がすすむにつれ、メガマウスザメの進化の歴史が解明されることが期待されるという。

 冨田さんは「化石の研究は、発見することが重要な役割を担う。研究者だけでなく、広く一般の方にも化石に興味を持っていただくことで、生物学の発展につながることを期待したい」と話す。同発見と調査の概要は研究論文にまとめられ、日本古生物学会の英文学術雑誌「Paleontological Research」に掲載されるという。

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